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菅首相の所信表明詳報(5)「与野党の壁越え国民的議論を」(産経新聞)

 第6の「雇用・人材戦略」により、成長分野を担う人材の育成を促進します。少子高齢化に伴う労働人口の減少という制約を跳ね返すため、若者や女性、高齢者の就業率の向上を目指します。さらに、非正規労働者の正規雇用化を含めた雇用の安定確保、産業構造の変化に対応した成長分野を中心とする実践的な能力育成の推進、ディーセント・ワーク、すなわち、人間らしい働きがいのある仕事の実現を目指します。女性の能力を発揮する機会を増やす環境を抜本的に整備し、「男女共同参画社会」の実現を推進します。

 人材は成長の原動力です。教育、スポーツ、文化などさまざまな分野で、国民一人ひとりの能力を高めることにより、厚みのある人材層を形成します。

 こうした具体策を盛り込んだ「新成長戦略」の最終的とりまとめを今月中に公表し、官民を挙げて「強い経済」の実現を図り、2020年度までの年平均で、名目3%、実質2%を上回る経済成長を目指します。また、当面はデフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって、強力かつ総合的な政策努力を行います。

 ■財政健全化による「強い財政」の実現

 次に、「強い財政」の実現です。一般に民間消費が低迷する経済状況の下では、国債発行を通じて貯蓄を吸い上げ、財政出動により需要を補う経済政策に一定の合理性はあります。しかしながら、わが国では、90年代に集中した巨額の公共事業や減税、高齢化の急速な進展による社会保障の急増などにより、財政は先進国で最悪という厳しい状況に陥っています。もはや、国債発行に過度に依存する財政は持続困難です。ギリシャに端を発したユーロ圏の混乱に見られるように、公的債務の増加を放置し、国債市場における信認が失われれば、財政破綻に陥るおそれがあります。

 わが国の債務残高は巨額であり、その解消を一朝一夕に行うことは困難です。だからこそ、財政健全化に向けた抜本的な改革に今から着手する必要があります。具体的には、まず、無駄遣いの根絶を強力に進めます。次に、成長戦略を着実に推進します。予算編成に当たっては、経済成長や雇用創出への寄与度も基準とした優先順位付けを行います。これにより、目標の経済成長を実現し、税収増を通じた財政の健全化につなげます。

 わが国財政の危機的状況を改善するためには、こうした無駄遣いの根絶と経済成長を実現する予算編成に加え、税制の抜本改革に着手することが不可避です。現状の新規国債の発行水準を継続すれば、数年のうちに債務残高はGDP比200%を超えることとなります。そのような事態を避けるため、将来の税制の全体像を早急に描く必要があります。

 以上の観点を踏まえ、前内閣の下では、私も参画し、経済の将来展望を見据えつつ「中期財政フレーム」と中長期の財政規律を明らかにする「財政運営戦略」を検討してきました。これを今月中に策定します。今国会、自由民主党から、「財政健全化責任法案」が国会に提出されました。

 そこで提案が、私からあります。わが国の将来を左右する、この重大な課題について、与党・野党の壁を越えた国民的な議論が必要ではないでしょうか。財政健全化の緊要性を認める超党派の議員により、「財政健全化検討会議」を創り、建設的な議論を共に進めようではありませんか。

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